京都メディアフォーラム例会記録(2004.7~2011.12)

京都メディアフォーラム例会記録

調査対象への気配りと、調査への欲張り

あるテーマについて調べたいと思ったらどうするか?

テーマにもよるが、大学にいる限りまずは図書館に行って、司書にアドバイスをもらうか、自分で開架式書庫を回ってみて参考文献を探すだろう。(近頃は、図書館に行ったことのない学生もいるが、これは授業料を損している。)

次は、専門家や教員に尋ねてみるだろう。その相手がたまたまぴったりのテーマの専門家であればそこから次々と参考文献や調査内容についてアドバイスがもらえる。ただ、たいていは若干の参考文献を紹介してくれる程度だろう。でも、ないよりははるかにまし。

更に、当事者や現場が比較的コンタクトが取りやすい場合には、その関係者からアドバイスをもらう。
ただその際に、たとえば距離的には近くにいて時間的に訪問しやすい場合、その当事者にどのようにコンタクトを取るだろうか? 相手の敷居が高く、取っつきにくそうな場合だ。

  1. 手紙やファックスを送るだろうか?
  2. それとも電話で話しを聞くだろうか?
  3. あるいは、電話でアポイントを取ってから、訪問するだろうか?

ある人は、第一の方法が良いと言う。理由は、第二や第三では相手にご迷惑がかかるからと言う。
別の人は、第二が良いという。理由は、これも簡単にすませられるからと言う。
さらに別の人は、第三が良いという。理由は、じっくりと説明が聞けるからという。

どの方法がいいかは、ケース・バイ・ケースであるにしても、もし自分にとって重要な話しを聞きたいのであれば、私は第三の方法を選択する。


理由は、相手の時間を取ることがあるにしても、直接顔を合わせて話しを聞くと双方にとって安心できるからだ。遠隔地ならばともかく、近距離ならば、できるだけ直接会うようにしている。自分のつながりがほとんどいつも近くにあり、会うのが簡単な環境にいると、対面することの重要性を忘れがちになる。遠隔地の人と一緒に仕事していると、めったに会えないので、それ以前にメールで大枠を決めておき、対面する機会に一気に本論に入る。その対面は非常に貴重な機会になる。


e-learningの場合でも同様である。オンラインだけでの教育では限界があり、スクーリングや何らかの体面機会を作ることが教育効果を上げることができる。


同じ事をジャーナリストは次のようにアドバイスをしている。

ファクスですますのではなく会いに行くべし、という筒井さんの意見に同意します。
挨拶に行って相手と顔を合わせれば、相手もリラックスできます。」

ただ、彼のアドバイスは撮影対象との関係において、さらに現場らしい表現が出てきます。

あまり細かいタイムスケジュールを組まないこと。
現場の流れを事前に把握したあとは、本番勝負。取材対象への気配りと、撮影への欲張りが、現場で交差しなければなりません。失礼がない程度に、無理をおねがいすることがあってもいいのです。もう少し撮りたいと思ったら、「あと一分だけ」とお願いして3分撮らないと。
その場が必ずしも和やかに進む必要はない。要は、出来上がった作品で相手にお返しするのことです。いいの撮ったら、イライラさせたとしても喜ばれます。

「取材対象への気配りと、撮影への欲張り」という表現が面白い。
欲張った結果、相手を不快にさせることもあるだろう。その時にいかにうまく謝るかが分かれ目だ。
これは経験を積みながら習得していくのだろう。

もちろん、調査結果や撮影結果がよくないといけないのはいわずもがなである。


こういう現場を踏んだ専門家の話は、教育にも、また研究にも心したい。
もちろん、学生諸君もね。