京都メディアフォーラム例会記録(2004.7~2011.12)

京都メディアフォーラム例会記録

共著者と偶然出会う

先週末の大学教育学会の同じセッションで報告した見舘好隆さん(キャリア・カウンセラー)とその後メールのやりとりをしていると面白いことがわかった。彼は、首都大学東京で職員として学生のカウンセリングを担当している。報告自体も面白かったが、彼がメールしてきた経歴を見ると、All Aboutでキャリア形成の案内人をしているとのこと。


その経歴の中に、彼の著書の紹介があり、その一冊が『インターネットの効率的学術利用―情報収集・整理・活用』※第16章「就職活動におけるネットでの情報収集と活用」であった。


う〜ん、このタイトルは見覚えがある。2004年に私もこれに寄稿している。「第15章:大学でNPOとインターネットが出会う」という原稿だ。編著者の杉田米行さんは、大阪外国語大学の外交史家であると同時に、新しい出版モデルを作ろうと努力している学者である。


普通、共著本は、編者が集めた共著者に依頼し、原稿をそのまま掲載するものだ。しかし、彼は違う。出版計画をネットに流して、共著者を公募し、たとえ共著者が知り合いであろうとなかろうと、提出された原稿を匿名のレフェリーによって査読させて、その結果を元に掲載の有無を決めるという方法だ。不採用になる著者もよく出るので、かなり厳しい。実は、私も以前応募した時に、一度査読で落とされたことがある。自分としては、結果の評価は正当にしても、落選という結末で終わりたくなかったので、杉田さんに「二週間で書き直すので、再度投稿のチャンスをほしい」と直訴した。


私の気持ちが通じたようで、再投稿を認めてくれたので、その厚意に報いようと二週間で大幅に書き直して書き上げた。査読結果は、なんとか条件付き合格となり、出版に至った。


こういういろいろの思いが重なって、見舘との出会いに感激してしまった。もちろん、彼の経歴を見るまで、同じ本に寄稿していたことをしらず、ましてやまったく未知の人であった。ただし、研究活動で異なる専門分野同士が出会うチャンスは意外と少ないので、その意味でも印象に残った。メディア研究、大学教育、NPO研究いずれの専門分野も他分野に開かれた分野である。こうした境界を越えた研究に出会ってよかったと思う。