京都メディアフォーラム例会記録(2004.7~2011.12)

京都メディアフォーラム例会記録

ある学生のインターンシップ日記

色白の美男子で、ちょっと不良っぽく見える三回生の学生がいる。大変熱心に学生の世話をし、大学側と学生側が対立する時には両者を調停しようと努力している。一見するとかっこよくて、女性にもてそうなのだが、もてない。


彼の友人からはもてない原因を聞くが、どうも納得がいかない。非常勤講師の方の世話は全身全霊をかけてやってくれるし、依頼したこともきっちりしてくれる。私は彼のようなもて顔になってみたいと思っている。そう思うのは私だけではない。


実は、現在、彼は非常勤講師に来ていただいた広告制作会社http://dream-d.net/インターンとして働いている。きっかけは、昨春に講義に来てくれた社長(実は、私の長い友人)に見込まれて、「もしインターンシップに来たいならば喜んで受け入れてあげる」と言ってもらった言葉からである。その社長も、「彼のように俺が美男子だったら、人生が変わっていたのに」と言っていた。だから、まんざら彼はダメ男ではないのだ。


彼も三回生も終わり近くになって、そろそろ就職活動が大丈夫か心配に思った。そこで、彼にインターンシップに行かないか。そして、その時に、東京で就職活動をしてきたら、と言ったら、彼はそれを受け入れてくれた。ということで、二月の一ヶ月間だけ体験することになった。


社長さんからは、仕事以外に、インターンシップ日記http://www.kyoto-seika.ac.jp/tsutsui/education/junya/internship/index.htmlを書くようにといわれて、われわれのメーリングリストにほぼ毎日日記を送ってくるのだが、これが実に面白い。肩の力が抜けている文体だが、激務に積極的に取り組む一方で、失敗や笑いが必ず混じっている。実に秀逸な文章である。


この文章を読んだ詩人で、コピーライターである朝倉勇さんも思わずうなって、彼を励ましてくれている。

これまで隠されていた彼の才能が一気に花開いている。さすがに少し受けねらいをしようとするとあまり面白くないが、翌日にはまた肩の力を抜いて調節している。見事なもんだ。


仕事が忙しいことと、いい日記がかけることが同時進行していることも驚きである。慣れない東京での片道2時間の通勤時間にもかかわらず、暇を見つけては日記を書いている。本当に将来楽しみな存在だ。


受け入れてくれた社長さんに心からお礼を言いたいが、単に受け入れるだけでなく、彼に日記を書かせるというノルマを課したことがさらに素晴らしい。全力で飛び込んでいった学生は、自分で人生を開くことができるというお手本のような存在だ。インターンシップも日記もまだまだ続く。しばらくは目が離せない。