京都メディアフォーラム例会記録(2004.7~2011.12)

京都メディアフォーラム例会記録

いよいよシンポジウムが始まります。

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司会者は、松浦さと子さんで、ドイツ、韓国のゲストと、日比野さんが参加します。

松浦さんから、韓国のレーティングの基準について質問があった。
それに対して、朴さんは、韓国のオープンチャンネルでは、視聴率とは違った、PSIという番組の公共性という観点から判断している。これによって、エンターテインメント番組だけが優先される傾向を是正する対策を取っている、という返答があった。

日比野さんからのコメント:
ドイツ・韓国ではいづれも番組放映料で成立していると言うことは、わいわぃとは大きな違いである。
ドイツの場合、コミュニティーメディアであり、韓国は全国ネットである。
いずれの国でも、自分の責任で放送するという原則がある。
ただ、イラクで日本人が人質になったときに、日本のメディアはほとんどそれを支援しなかった中で、わぃわぃやOur Planetなどだけが少数派の意見を言った。
こうしたマイノリティーの番組や見解をドイツや韓国ではどれだけ保障できるのだろうか?

リンケさんからの返答:
ドイツでは、自己責任は二つある。
一つはモラルであり、もう一つは法律を守ることである。
ラジオ放送するからと行って、法律を破ることではない。これまでの参加者は自己の責任を守っているし、それが問題になることはない。ほとんどの番組は生放送なので検閲は不可能である。われわれは、道徳上での自己責任を遂行したいと思う。
朴さんからの返答:
KBSは全国放送なので、事前に検閲をおこなっている。ただし、ID証問題という番組はKBSは拒否したが、最高裁で認められ、放映が認められた。

日比野さん:
オープンチェンネルは、日本では市民の動きから生まれてきた。韓国やドイツでは?
朴さん:
市民教育NGOが中心になって番組解説の要求が生まれてきた。
リンケさん:
ドイツでは、運動の成果ではなく、政治的決定の所産である。

松浦さん:
オープンチャンネルの番組の特徴はあるだろうか。
リンケさん:
毎日変わってます。理由は、先着順だから。ただ、全体の三分の一は定期的に使える時間であり、人気がある。
新しい視聴者は、たまたま見たというのが多いが、他の番組とは大きく異なることが興味を引きつけている。つまり、既存の番組への飽きが生じているのではないか。このことは、ドイツ語以外の言葉を母語とするマイノリティーに強いようだ。
朴さん:
どういう番組が放映可能かというのは審査委員会が決めるが、放送できない基準はたとえば、以下のようなことがある。結婚式の模様を撮影したような番組は放映されないし、商業的なものも認められない。個人の肖像権に関わることも認められない。

松浦さん:
受信料は?
リンケさん:
受信料で運営するのは放送法で守られている。ただし、受信料の値上げとオープンチャンネルへの配分は別である。
朴さん:
KBSは世界で一番安い受信料である。運営費の四割は受信料だが、後は広告費でまかなっている。こうした予算をどのように工面するのかがだい問題になっている。


フロアからの質問:
質問風景は、以下です。
http://www.kyoto-seika.ac.jp/tsutsui/podcast/yy/pict/pict26/sympo3/sympo3.html

質問は以下です。
1.放送済み番組は保存されるのか?
リンケさん:
再放送の基準は特に決まったことはないが、年二回が限度である。法律によって、6週間保存することになっている。番組に対して異議を出すことを保証するためである。ただ、コンテンツの中身は、視聴者に帰属するのである。
アーカイブ化は、全国規模ではおこなっていないが、ベルリンではイベント番組に関しては、アーカイブしている。
インターネット化については、テレビとの接続を可能にしているので、いつでも見られるようになっている。
朴さん:
韓国では再放送はほとんどない。理由は、他の番組との関係で難しいからである。すべての番組はネットにアップされている。これまで172本がアップされている。また、ビデオ化されて販売もしている。

2.日本の市民メディアでは、メディアリテラシーの影響が強くなっているが、ドイツではどうか?
リンケさん:
ドイツでもメディアリテラシーの重要性は変わらない。オープンチャンネルに限らず、多くのメディア団体がこのことに取り組んでいる。ただ、ドイツでは、各州毎に法律を策定するので異なっている。オープンチャンネルとは別に、フリーラジオがある。後者は、コミュニティーに依拠している場合が多いし、設備を既に持っている。

3.ドイツや韓国では、政府や法律によって、市民メディア権が保障されていることがうらやましい。

4.地方のFM局を担っているが、わぃわぃの場合には市民の運動によって作り上げたことは大変素晴らしい。今後も教えて頂きたい。

5.マスメディアの将来が危ぶまれる時期なので、もっと市民側が強く要求すべきではないか。

6.日本の市民メディアも言われるほど暗くはない。

パネリストの方から最後のコメント:
将来に向けて
リンケさん:
インターネットとオープンチャンネルは、後者が、特にマイノリティーにとっては、相互に作業を協力しながら学んでいったり、交流が可能であるので、両者は併存可能である。また、国内だけではなく、国際的な協力が必要である。
朴さん:
KBSは、2001年にはじめてパブリックアクセスチャンネルを開始した。
専門家にとっては、番組を審査できないことに抵抗感があったが、いい番組が出現するにつれて、徐々にそうした抵抗も少なくなってきた。
マスメディアと異なって、告発番組や視聴者の目線で見た番組が出てきている。
日比野さん:
わぃわぃでは多文化放送と言いながら、放っておくと外国語放送は伸びない。理由は、マイノリティーであることがいかに萎縮させるのかをしめしている。われわれは、それを支えていくことが重要である。多文化な動きは、放っておいても伸びるわけではなく、互いに交流しながら学び会う社会を作るべきである。

最後に、北海道から九州まで全国の参加者が集まっていることを確認して閉会しました。
面白かった。
さあ、これからは多文化料理と文化の集いだ。
夜はネット環境がないと思いますので、アップするのは夜になると思います。