京都メディアフォーラム例会記録(2004.7~2011.12)

京都メディアフォーラム例会記録

ゼミがインターンシップと出会うとき2−キンシ正宗さんでの発表会まで−

京都精華大学柏木君の発表を見る前半(8分間)

(ダウンロードするか、iTunes for mac/winで見てください。)

実は、私の発想はよかったのだが、その後はまったくさんざんだった。彼女たちとゼミ生とが何度も打ち合わせをしたのだが、力量の差とゼミ生の経験不足があって、ゼミ生がまったく歯が立たず、それが彼女たちや会場を提供していただくことになったキンシ正宗さんとのコミュニケーションがうまくいかない時期が本番直前まで長く続いた。


彼女たちから、「このままだと本当に発表会ができるのか不安です」という不満の声が寄せられたし、キンシ正宗さんの田中部長さんからも、「本番が近づいてきているにもかかわらず、何をするのか学生からまったく連絡がない」と、かなり不機嫌な声が寄せられた。このままではたとえ発表会を実施できたとしても、後味の悪い、いや、彼女たちやキンシ正宗さんにご迷惑をかけることになるとすれば、申し訳ないと真剣に悩んだものだ。


発表会の構成も工夫した。彼女たちの発表をゼミ生が聞くだけでは、ゼミ生は受け身に回るのでよくないと思い、ゼミ生の活動報告も準備させた。ゼミではラジオ番組を企画制作して、他の大学生と精華大生とをつなぐというプロジェクトが進行していた。それを発表してもらうことにした。番組制作自体は比較的スムーズに行ったが、ラジオ番組を制作する目的やその意味づけを発表しようとするときには、ゼミ生のアイデアはまったく進まなかった。しかも、発表原稿が発表会前日にようやくできたのだが、発表者のプレゼンを仕上げることはもっと大変だった。プレゼンの発表目標として、

  1. メモを見ないで聴衆に語りかけながら発表すること
  2. 発表者は、自分の気持ちを込めて、自分の言葉で語りかけること

を設定して、それを達成するまで準備することとした。


前日のリハーサルは数時間かけて発表者が練習をした。私は会議で中座して最後までわからなかったのだが、終了後のゼミ生の連絡によると、メモから目を離せず、まだかなりぎこちないままでリハーサルを終えて、後は発表者が自分だけで練習して、本番に望むという決定をしたようだ。


誰も発表準備に満足しないままで本番に望むという決定をゼミ生がしたことは大きな間違いだと思うが、それを誰も言い出せない状況を破らないといけない。私は、その夜、すぐにゼミ・リーダーに連絡して、本番当日の午後に時間があるので、そこでリハーサルをしようと提案した。


翌朝、リーダーから電話があり、発表者から「風邪で声が出ないので、発表できない」という連絡があったとのこと。発表者の無責任さにはあきれたが、しかし同時に、リーダーが「もし誰もしないならば、私が代わりに発表者になります」と言ってくれたのはうれしかった。そうなんだ! いざという時は、リーダーがやるんだ。彼の成長ぶりを見て、成功を確信した。


午後に、プレゼン原稿作成者と発表者と私が集まって、まず、予定された原稿を今から練習しても間に合わないので、発表者がもっとも言いたいことだけに限定して発表しようということで、原稿を大幅に削った。削った部分は、プレゼンにとっては不可欠の部分であった(プロジェクトの経過、目標、ターゲット層の設定など)が、それは質疑応答の時に答えることにした。つまり、発表者がもっとも言いたい部分(番組のコンセプトや構成内容の説明)だけだと代役発表者でも確実に自分の言葉で話せるのであり、それでなんとか最低限のラインを死守しようという捨て身の戦法だった。それがいいかどうかという選択肢はもはやなかった。私は、先に発表会場に行ったので、プレゼンの練習を最後まで見ることはできなかったが、会場に来た時、発表者の表情は比較的落ち着いていた。

以後は、発表会当日の模様をお見せする。
まずは、私の挨拶から。


次はいよいよ京都精華大学生の発表です。緊張しながらも、切々と語る柏木君の話しぶりは、初めてのプレゼントは思えなかった。