京都メディアフォーラム例会記録(2004.7~2011.12)

京都メディアフォーラム例会記録

第8回 平和をつくる『触媒』としての平和ミュージアム 君島 東彦 さん (立命館大学)

「平和をつくる『触媒』としての平和ミュージアム」
●日時●
2005年2月7日(月)午後7時~9時
●場所●
京都三条ラジオカフェ店舗(三条通御幸町角1928ビル1階)
●お話●
君島 東彦 さん
(立命館大学国際関係学部教授、憲法学・平和学専攻)
1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院博士後期課程修了。シカゴ大学ロー
スクール修了。
1990年代はじめからNGO活動にかかわる。現在、国際反核法律家協会理事、非暴力
平和隊国際理事、非暴力平和隊・日本共同代表などを務める。平和学及びNGO活動
の成果に照らして日本国憲法の平和主義を捉え直し、活かすことを課題とする。最近
の論文は「NGOの平和構築が憲法の平和主義を具体化する」『論座』2004年12月号
朝日新聞社)、「平和をつくる主体としてのNGO」三好亜矢子ほか編『平和・人
権・NGO』(新評論、2004年)所収。共訳としてポール・ロジャーズ著/岡本三夫
監訳『暴走するアメリカの世紀─平和学は提言する』(法律文化社、2003年)。立命
館大学国際平和ミュージアムの新しい「平和創造展示室」のプランにかかわる。

 

ムは“メディア”という名詞を冠しているが、当初から「メディア・環境・平和」を大きな3つの柱にしていこうという方針だった。運営委員の関心がそこに共通していたからだ。そして「平和」テーマのゲスト・スピーカーとして最初にお呼びしたいと多くの運営委員が一致したのが、立命館大学で平和学を論じ、国際平和ミュージアムでも活躍する君島東彦さんだった。君島さんは「戦争の反対概念は戦争、ではなくあらゆる暴力、非人道的行為」と定義し、抑圧や暴力をなくしていくには、歴史認識の学習だけでなく、人間の尊厳を大切にする意識を涵養すること、人類的課題である「持続可能な平和な社会」を創り出していく「和解」と「共生」の道筋を研究・創造することだと説く。「平和を語る」というと“戦争の悲惨さを伝えること”というステレオタイプをイメージしていた私は目からウロコであった。 この例会からも多くのヒントを得た運営委員の一人で世界思想社の編集者・中島ゆかりさんは、コツコツと平和学の出版企画を進め、2009年に君島東彦編『平和学を学ぶ人のために』を出され、私も「戦争報道とメディアのゆくえ」という一章を担当させてもらった。51回目の例会は第8回例会の具体的な展開を検証することとなった。   (津田正夫)