京都メディアフォーラム例会記録(2004.7~2011.12)

京都メディアフォーラム例会記録

第19回 ~イラク戦争開戦3周年・イタリア人ジャーナリスト襲撃事件1周年~ 魚住真司さん(関西外国語大学)

イラク戦争開戦3周年・イタリア人ジャーナリスト襲撃事件1周年~
「米国テレビニュースの言質から見えてくるもの~「Fox News」と
「CBS Evening News」の比較を事例として~」

●日時=2006年3月6日(月)午後7時~9時(開場 午後6時30分)
 ※月例会後、引き続き懇親会(二次会)を予定しています。
●場所=京都三条ラジオカフェ店舗(三条通御幸町角1928ビル1階)
●お話=魚住真司(うおずみしんじ)さん
 関西外国語大学助教授(情報メディア論)
 1965年尼崎市生まれ。米国シアトル市で育つ。
 NHK報道カメラマンを経て、現職。
 2004年~2005年までワシントンDCに滞在。
イラク戦争長期化やブッシュ再選は、「Fox News」による米国市民のミスリーディングが一因とも言われる。事実、メリーランド大学の研究など各種調査でも「Fox News」の視聴者は、事実誤認が多く、イラク戦争を肯定する傾向があるとの結果が出ている。
 今回は、2005年3月にバグダッドで起きた米軍によるイタリア人ジャーナリスト搭乗車襲撃事件を題材に、その報道のされ方が、米国の伝統的な放送ジャーナリズムのあり方と、どのように違うのか分析することによって、「Fox News」の世論形成の手法を明らかにする契機としたい。

 

魚住真司さん(関西外国語大学)はシアトル育ちのハワイ大学卒業、同志社大学大学院アメリカ研究科という筋金入りのアメリカ研究者であり、同時に民主主義の原点としての市民の言論・表現の自由の擁護者である。NHKカメラマンとしてそれを実践した経験もある。私がNHKをやめて“新しい時代のメディア像”を模索していた時、マスコミ学会で偶然魚住さんと出会った。私はそれからずっと魚住さんにアメリカのメディアの法やパブリックアクセス制度を解説してもらい、世界各地のパブリックアクセスの調査を同行してきた。アメリカのパブリックアクセス制度を確立した“伝説の元FCC(アメリカ連邦通信委員会)委員”、ニコラス・ジョンソンさんを日本に招いて、その原点を学生たちに教えるという熱血漢でもある。この例会では、イラク戦争開戦3周年報道において、アメリカの愛国主義テレビFoxの Newsと伝統的なリベラルテレビCBSの Evening Newsとを比較しながら、イラク戦争長期化やブッシュ大統領再選は、「Fox News」による米国市民のミスリーディングが一因ではないか、との分析をもとに議論した。魚住さんと私は『メディア・ルネサンス―市民社会とメディア再生』(風媒社)、『ネット時代のパブリック・アクセス』(世界思想社)でご一緒している。ほかに『「知る権利」と「伝える権利」のためのテレビ―日本版FCCとパブリックアクセスの時代』(花伝社)などの著書もある。       (津田正夫)

 

メディアの国際比較を語りと映像で解説くださって、とても刺激的でした。津田さんのパブリック・アクセス研究の正当な継承者だと尊敬しています。とくに、フェアユースに関しての知識はスゴイ。金山勉さんとの共同研究にも学びます。(松浦さと子)