京都メディアフォーラム例会記録(2004.7~2011.12)

京都メディアフォーラム例会記録

第29回 『発掘!あるある大事典』を読み解く

第29回 京都メディアフォーラム■□■

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◆テーマ 『発掘!あるある大事典』を読み解く
            ~テレビの魅力と魔力、そして未来~ 


発掘!あるある大事典』捏造問題の調査委員会報告書をうけ、
民放連は関西テレビを除名し、総務省は厳しい処分にふみきりました。
まもなく国会に出される放送法改訂案で、政府はバラエティも含めて
テレビを強く規制しようとしています。

  捏造・やらせはなぜ起こるか?
  娯楽と報道はどこがちがうのか?
  テレビ文化は何をつくってきたのか?
  テレビはどこから来てどこへ行こうとしているのか?

今回は関西テレビからのゲストとともに、テレビ改革の課題や、
これからのテレビ文化のありかたを考えます。


◆ゲスト

・山本泰秀さん(関西テレビクロスメディア事業局CS事業部長)

 1977年入社。京都チャンネル担当。総務・人事を経て、85年から報道局。
 阪神淡路大震災報道などで活躍。02~04年BSフジをへて、05年から現職。

・木原紘一さん(関西テレビ監査役)

 1964年入社。「夏樹静子サスペンス」など数多くのドラマの演出、
 プロデューサー。 編成局長をへて、1998~2001年BSフジ常務取締役。
 03年から現職。

 

歴史的なメディアの大事件について、京都メディアフォーラムで情報共有させていただけたのは、有意義でした。(松浦さと子)

 

 

関西テレビの人気番組『発掘!あるある大事典?U』第140回の納豆によるダイエット効果を取り上げた「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」(2007年1月7日放送)に対し、週刊朝日が疑問を呈し、関西テレビは内部調査の末、「虚偽のデータを放映した」と発表。それ以降の放送中止、千草社長らが謝罪・辞任、民放連からの除名に至った。関西テレビへの非難が渦巻く中、この例会には同テレビの木原紘一・監査役と山本泰秀氏に出席してもらった。事実経過や、なぜ今“捏造”問題が頻出し、テレビ番組が衰弱するに至ったのか、長年の視聴率主義、バラエティ依存、安易な企画、下請け制作費の切り詰めとずさんな管理などが自己批判的に報告・討議され、さらにバラエティ文化・テレビ文化はどこへ行こうとしているのかなど、きびしいやり取りも続いた。 厳しい市民のフォーラムに関テレ社員がよく来たと感じる人もあったが、実は木原氏は私が学生時代に属した劇団「風波」の尊敬する先輩。関テレでは「我が母は聖母なりき」「夏樹静子サスペンス」など多くのドラマも手掛けてきたプロデューサーでもある。テレビ局内部でも、報道と制作、ドラマとバラエティなど、担当によって情報や演出に対する考え方の違いも少なくない。関テレでは、下請け会社との契約の明確化など各種の改革を進め、『番組制作ガイドライン』の設定(2007)も行われたが、その後ものTBS『人間!これでいいのか』、フジテレビの『トリビアの泉』などでも、“捏造”や過剰な演出が指摘されている。木原氏はその後まもなくガンで他界された。第58回参照。  (津田正夫)