京都メディアフォーラム例会記録(2004.7~2011.12)

京都メディアフォーラム例会記録

第14回 『市民メディア』への視線~日本初のビデオジャーナリスト・神保哲生さん~

第14回公開月例会
「『市民メディア』への視線~日本初のビデオジャーナリスト・神保哲生さん~」

●日時●
  2005年10月4日(火)19:00~21:00
 ※月例会後、引き続き懇親会(二次会)を予定しています(22:30終了)
●場所●
  京都三条ラジオカフェ店舗(三条通御幸町角1928ビル1階)
●お話●
  神保哲生(じんぼう てつお)さん
若くして渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院で本格的ジャーナリスト修行。AP通信記者などを経て、1996年ビデオニュース株式会社を設立。アジアプレスやジャパンプレスなどで脚光をあびはじめた独立ジャーナリストを育成するとともに、1999年、日本初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ現在に至る。環境問題、地雷問題、食料問題などに、最近はBSE問題などのキャンペーンに精力的に取り組む。ビデオレポート『地雷撤廃への道』で地球環境映像大賞受賞。著書に『ツバル-地球温暖化に沈む国』(春秋社)、『地雷リポート』(ほんの木)、『ビデオジャーナリストの挑戦』(ほんの木)など多数。映像作品、論文多数。

※今回は、ビデオジャーナリストの第一人者を迎え、現在の日本のメディア、そして「市民メディア」をいかに分析・評価し、何を期待し、どのように行動するのかをお聞きします。

 

今では普通名詞になった「ビデオジャーナリズム」は、ハンディカメラを使いながら取材・編集・送出までをほぼ一人で行うものだ。この方法では、担当するジャーナリストの個人的な負担は大きいが、メディア企業につきもののスポンサーや政府からの圧力は比較的少ないといえる。90年代初めから“ジャーナリズム教育のメッカ”ニューヨーク・コロンビア大学でマイケル・ローゼンブラムが教えていたこの画期的な方法を学んだ神保哲生さんは、帰国してから日本ビデオニュース社を立ち上げ、99年にはニュース専門インターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」で放送を開始した。世界の地雷問題、地球温暖化による海面上昇問題、狂牛病牛海綿状脳症)に関わる諸問題など、外務省・アメリカの政策に関わるテーマでは、大手のジャーナリズムは巧みに争点を避けようとするが、神保さんの取材の矛先は鋭い。メディアのカルテルである「記者クラブ」改革やメディア資本どうし(新聞社とテレビ局)のクロスオーナー制度などにも、ビデオニュース・ドットコムは果敢に迫ってきた。立命館大学(産業社会学部)で映像ジャーナリズムのカリキュラム体系を構築しようとしていた私は、神保さんを説得して05年から特任教授としてきていただいた。神保さんは立命館の学生だけでなく、京都内外でジャーナリズムを学びたいという学生たちに惜しみなくその思想と技術を伝授する「神保塾」も開いた。この例会は、神保塾・メディアフォーラム版であり、京都のドットコム会員も何人も参加してくれた。   (津田正夫)